ネットが普及していない頃のお部屋探し～ひとりで営む広告代理店

不動産屋の店先に貼ってある物件の詳細図面。あれのことを、不動産業界ではマイソクと呼ぶことがよくあります。毎日速報センター（現在の株式会社マイソク）が、元付業者（オーナーから物件を預かっている不動産業者）から印刷を依頼されて、他の不動産業者へ配布していたことに由来します。

現在のようにインターネットが発達していない時代、このマイソクが届くのを業者は心待ちにしていたといいます。店頭を訪れたお客様に、このマイソクの中から条件に近い物件を紹介するわけです。

そんな時代における賃貸のお部屋探しは、店先に貼ってあるマイソクを見たり、情報誌や新聞等を見て不動産屋へ行くか、いきなり行って条件を伝えてその場で探してもらうのが普通でした。

インターネットが普及して、しかもほとんどの人がスマホを持っている現在は、不動産ポータルサイトやアプリで物件を見つけたらそこへ記載してある不動産屋の連絡先へ問い合わせ。内見の日時を設定したら、現地へ直接というケースが珍しくなくなりました。

ネットでのお部屋探しは便利だけど～ひとりで営む広告代理店

確かにインターネットでのお部屋探しは便利ですが、やはり良いお部屋探しは良い不動産屋との出会いが大切です。アプリなどで見つけたお部屋の問い合わせ先の業者がたまたま良い業者だったなら、それは問題ありません。しかしながら、そうでない場合もありますし、そもそも人間同士ですから相性もあります。

どの不動産屋でも基本的に、市場に出ている物件であれば何でも扱うことができます。アプリに掲載されている問い合わせ先がA社であっても、あなたの知り合いのB社は、その物件を広告宣伝することはできない場合でも、仲介を行うことはできるわけです。

むしろ、A社がその物件の元付業者であれば、オーナー（大家さん）と借りようとしているあなたの利害が対立したときは、A社はほぼ大家さんの味方となって嫌な思いをすることでしょう。大家さんの機嫌を損ねて契約を解除されてしまうと、毎月の管理料等の固定収入が失われてしまうからです。

不動産ポータルサイトやアプリ（居住用賃貸では「SUUMO」の物件掲載数が多いですね）で見つけた「物件ありき」よりも、あなたの話をきちんと聞いて、誠実な対応をしてくれる「不動産屋ありき」のお部屋探しをお勧めします。

当社のようなひとり社長の吹けば飛ぶような会社だから言っても大して影響はないと思いますが、不動産ポータルサイトやアプリへの物件掲載にお金をかけられる不動産屋は、数をこなしてなんぼという会社も多いです。

昔の不動産屋は横柄で怖い人もたくさんいました。ですが、今では少なくなりました。最近のお客様は、ネットの口コミを信じ過ぎる傾向があるようですが、ウェブサイトも持たないような不動産屋の中にも、良心的で知識も豊富な業者はたくさんいます。

確かにネットでのお部屋探しは便利ですが、一生付き合える仲間のような不動産屋探しもぜひ考えてみてください。