お部屋探しの選択肢が多いことは良いことではない | 認知バイアスを考える不動産屋

不動産ポータルサイトは楽しいけれど~ひとりで営む広告代理店

不動産ポータルサイトは、たくさんのお部屋が掲載されていて楽しいですし、今の自分の予算ではとても住めそうにない高額なお部屋を眺めて夢を膨らませるなど、良い暇つぶしにもなります。

インターネットにこれだけ多くの情報があれば、さぞ自分にとって最適な物件選びが可能になりそうです。ところが、実際には選択肢が豊富にあるほど、人は選ぶことが苦痛になったり、困惑したりする傾向があるということが実験によって示されています。

心理学者のシーナ・アイエンガーらは、24種類のジャムと6種類のジャムの試食コーナーを設けて実験を行いました。その結果が、次のとおりです。

選択肢が少ない6種類のほうが集まった人が少ないのに、実際に購入に至った割合はかなり高いです。そして、24種類も6種類も、平均試食数は2種類となっています。実際には24種類をすべて試食して、1種類だけ購入するという人などもいるでしょうが、それは考えなくてもよいでしょう。

頭でっかちは決められない~ひとりで営む広告代理店

お部屋探しも同じで、不動産ポータルサイトなどから得た知識で頭でっかちになっている人は珍しくありません。こちらがうかがった条件に沿った物件を提示すると、「あぁ、このお部屋はかなり前から募集が出ていますが、何か問題があるのでしょうか?」なんて質問してくる方もいて、こちらよりよっぽど詳しかったりします。

人間は情報が多過ぎるとそれを処理しきれない、判断が追いつかないものだということをジャムの実験は示しているといえます。お部屋探しだけではなく、人生全般においてもそうです。もっと選択の余地があれば、良い選択ができたのにということはほとんどなく、むしろ、過剰な選択肢はネガティブな効果を生み出します。

信頼できるかかりつけの不動産屋を持とう~ひとりで営む広告代理店

選択肢が多いことは良いことではありません。賃貸のお部屋探しであれば、そもそも自分はなぜ引っ越しをしたいのか、どんな生き方や暮らしを送りたいのか、これだけは譲れないという条件は何かを明確にして、厳選の3物件(およそ)を内見したらその中から決めるという気持ちが大事です。

専門知識を身に付けることも、過剰な選択肢に対抗する手段となり得ます。ただし、誰もがすべての専門家になる余裕はありません。上手に不動産屋を頼りましょう。

不動産ポータルサイトで見つけた物件の問い合わせ先が、自分にとって良い業者かどうかは「神のみぞ知る」です。あなたに信頼できるかかりつけの不動産屋がいれば、その物件の元付業者(オーナーから物件を預かっている業者)が囲い込み(※)をしない限り、かかりつけの不動産屋が仲介に入ってくれます。

※借主(買主)も自社で見つけて利益を独占しようとして、他の業者に対して情報を隠したり、虚偽の情報を伝えたりするなどの行為。特に売買では後を絶たない業界の悪弊。

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